日本カトリック教育学会は、カトリック教育に関する研究およびその普及を計り、研究上の推進・連絡と協力を促進することを目的とするために、1977年に創設された学会です。また、2007年より日本学術会議の協力学術団体となっています。
会員は個人会員のほかに、学会の目的にご賛同・ご協力いただいている法人会員(全国のカトリック大学・短期大学・学校法人)で組織されています。
学会では年に一度、学会主催の全国大会を行い、また学会の紀要『カトリック教育研究』を発行しています。
会長挨拶
カトリック教育とは何か。それ自体がすでに簡単に言い尽くせない問題です。一度問い始めるならば、そもそも「カトリック」とは何であるのか、そして、「教育」とは何であるのか、たちまち根源的な問いがあらわれてきます。そうした底なしの深淵のような問いに対して、唯一無二の正解がどこからともなく与えられるわけでもありません。しかし、その問いに向かって真摯に探求する人たちは、なんらかの真実にたどりつくことがあるかもしれません。そうした人たちが、それぞれの探求を行いながら、互いに支えあう共同体として、本学会はあります。
本学会の第46回大会で黒住真会員(東京大学名誉教授)による「基調講演:カトリック祭祀(典礼)がもつ希望の意義―日本の危機の祈りと瞑想」をうかがって、言葉や真実が空虚化し、真理に対してまったく無感覚で無生命的な世界にすっかり飲み込まれてしまうという問題性を参加者一同ゆさぶられるように共有しました。その質疑応答において黒住会員が指摘していたことをふまえますと、やはり「カトリック」「教育」また「学校」といっても、そこに真理と生命の漲る聖性の一輪の花が開花することを求める純粋で霊的な憧憬・熱望が内また下から支えとなっていなければ、どれだけ工夫を凝らしても、結局はたんなる制度・システムに落ち込んで無感覚・無生命的硬直性にたやすく飲み込まれてしまうというあやうさをわたしたちは受けとめる必要があるといえましょう。
そして、そうした一輪の花を開花させる純粋で霊的な憧憬・熱望が人々のなかに生まれ、育まれるような、エマオ的な体験に生かされることがあるような、神の生命がいぶき、神の光がきざす、そういう場(そこに典礼の意義もあると思いますし、カトリック教育のありようにもかかわると思いますが)が、まさに、そういう場として受けとめられ、大切にされることが極めて困難になっていることもみとめなければならないでしょう。
そのようなあやうさ、困難さを喫緊の課題として共有しながら、多様な研究と実践にかかわる会員が、それぞれの真摯な探求の道を深くたどりつつ、また互いに学問的にも人間的にもいっそうの交流を深めてゆければと願っております。
会長 阿部善彦(立教大学)
執行部紹介
事務局長
小谷 由美
(日本女子大学)
編集委員長
武田 なほみ
(上智大学)
事務局幹事
尾越 雅子
(上智大学)